MUSIC 2005.5.5更新
このページは私のレコード棚から再発見した名盤?珍盤を紹介したり、新たに入手したレコードの感想などアナログ盤の話を中心にUP。

                                                                               (たまに更新)



##21KHAN SPACE SHANTY(’76 日本盤)オリジナルは’72リリースされている。カーンと聞いてエッグとゴングが出てくる人はかなりのプログレ通であろうか。スティーヴ・ヒレッジ(g)とデイヴ・スチュワート(Key)、モント・キャンベル(b)、クライヴ・ブルックス(dr)によるユリエル(アーザケル)が母体。何の説明にもならないが、このアルバムは妙にノスタルジックでスペーシー、ハードでリリカルといった展開が印象に残る。ジャズ・ロック的でスチュワートは後のカンタベリーサウンドに繋がる。しかし最も強い印象は美しい旋律の部分。いかにもプログレ調でありながら、随所にちりばめられたスペーシーでジャジーな変な中途半端さが逆に独自な魅力。ジャケはプログレの中ではB級アニメ的である。そこがまたいい。このアルバムを秘蔵している人は結構いる。

#20ROBERT FRIPP Under Heavy Manners(’79 US盤)入手。 「クリムゾン・キングの宮殿」(’69)から35年もの時が過ぎた。あのジャケットを描いたアーティストはその数年後に他界した。このアルバムのおかげでどんどん深みにはまっていったことを思い出す。キングクリムゾンの国内盤はほとんどあると思う。言うまでもなくキング・クリムゾンの中心人物であり74年の解散、その後の再結成、またソロ活動、他のアーティストとのコラボレーションとどこを取ってもロバート・フリップの存在感は絶大である。クリムゾン創生期についてはおいておいて、70年代のフリップの功績はその後の多くの音楽ムーヴメントに多大なる影響を与えた。この作品においても独自のシンクロする音のうねりが、コアな音空間を構築し、サンプリング手法を、この時代に機械的にというより手作業でやってのけたことなど先見性と実験的アプローチは職人的アーティストを思わせる。
他にExposures(’79 国内盤)、the League of Gentlemen(’81 US盤)がある。クリムゾンについては後ほど。

#18HAROLD BUDD・THE PAVILION OF DREAMS(’78 US盤)久しぶりに当時のバットを聴いた。アンビエントの最初期の記念碑的作品である。デジタルな時代にアナログでバットを聴くことを忘れていた。しかし当時聴いた以上に完成された作品の出来に驚く。ブライアン・イーノによるOBSCUREレーベルの最終盤。バッドのピアノ、エレクトリック・ピアノは連続したゆるやかなうねりを聴く者に与える。これほどまで音が主張しない音楽を聴いたことがあっただろうか。バッドはこう語る。「作曲とは無駄なものを取り除いていくこと」 バッドの作品は何ものにも似ない極度の単純性(バッドによる表現によればラディカル・シンプリシティ)を示す。(Sonority As Scenery-some notes on spacious musicを参考)エレクトロニックでありながら古典的でアナログなサウンドは自分にとっても作品制作に多分に影響を与えた気がする。当時、来日したバッドを聴きに六本木のアクシスで行なわれたプライベートライヴにまで行ってしまった。アンビエントなライヴは催眠術をかけられた様に、ほとんど皆、眠っていた気がする。ハロルド・バッドは他にAbandoned Cities(’84 US?盤)がある。他にADVANCE RECORDINGS/NEW MUSIC FOR WOODWINDS(’73 詳細不明)のside 1 New Work#1にバッドの名を見つけられる。これは全くのインプロビゼーション。イーノとの作品はAMBIENT 2 THE PLATEAUX OF MIRROR(’80 日本盤)、THE PEARL(’84 日本盤)がある。

#15BRAND X・MASQUES(’78日本盤)入手。ブランドX名義では’75年録音の「異常行為」がファーストであるが、ジェネシスのフィル・コリンズが提唱する以前にその活動は遡る。さすがにフィル(個人的には好みではない。ただしジェネシスでのパフォーマンスよりこちらは無機的でくせがない)が中心であるためパーカッション主体のインスト・バンドである。当時もテクニックが絶賛されていただけに実に安定した力を見せつける。フュージョン寄りにも聞こえるが、多分に実験的な音である。ジャズ寄りのロックだと思う。このアルバムはフィルのブランドXを脱退後のアルバムであるが、そのコンセプトは継承されている。BRAND Xは他に「異常行為」(’78日本盤)と「LIVESTOCK」(’77 US盤)がある。

#13CRACK THE SKY・LIVE SKY(’78 US盤)、SEALS&CROFTS・UNBORN CHILD(’74 日本盤)ほか入手。CRACK THE SKYはアメリカン・プログレ。知る人は少ないと思うが、良質な音作りである。シールズ&クロフツは70年代を代表するフォーク・ロック・デュオと定義されるが、中近東の音楽を取り入れたり、宗教的なアプローチなど多面的な魅力に溢れる。叙情的なジャケットに見られるソフトさはA,B面ともラストのハードな側面により一変する。CD化が少ないためアナログ盤は貴重。

#10 SAD CAFEMisplaced Ideals(’78 US盤),Fanx Ta’Ra(’78 日本盤) 輸入盤で当時買い求め、三流のジャケットデザインのわりに優れたバンドだと思っていた。マンチェスター出の10ccなどとも比較されたバンドだが、10ccほどひねったポップ感覚ともちがう、独特のおちかたをするところが妙に気に入っていた。ロック、プログレ、ファンク、R&B、ポップごちゃまぜなのに何故か統一感があり、今聴いても古くない。ヴォーカルのよさも魅力だ。時代的にも近いBUGGLES(イギリス)を思い出したが、90年代のジャミロクワイなどにもどこかで繋がる気がする。

#9 appendix out・daylight saving (’99 US盤)すこし前に入手しためずらしく’99のアナログ盤。実は全く知識がなかったが、グラスゴーのグループでアメリカから出している。曲は心地よいアコースティックミュージック。ボーカルがなんともまどろむ。ただ独特の雰囲気はスコットランドの北方性が生むのか。昨今のポスト・ロックやフォーク、トラッドの今日的解釈なのだろうか?。いや自然発生的にこういう音が生まれたということなのかも。

#7 PETER GABRIEL・same(’77 日本盤)ピーター・ガブリエルのジェネシス脱退後の初ソロアルバムである。ジェネシス脱退(’75)後の80年代への予兆を感じさせる意欲的な作品だ。ジェネシスにおけるガブリエルについては後でふれるとして、このアルバムではよりヴォーカリストとしてのガブリエルが感じられる。それはピーター・ハミルやロバート・フリップをバックに置きながらも完全に自己主張している。ジェネシスに見られる中世ヨーロッパ的な叙情性というよりブリティッシュ・ロックの伝統に根ざしたストレートな音作りがルーツに見える。当時、ガブリエルのステージアクトから深い物語性や神秘性を感じていた者には少なからず戸惑いを与えたのではないか。モノクロ写真に一部着色したかのような不思議なジャケットデザイン。ピーターガブリエルってこんな人?と目を疑った。ピーター・ガブリエルはこのほかにソロ二作目(PETER GABRIEL ’78 イギリス盤)と同三作目(タイトルなし’80 日本盤)、五作目SO(’86 日本盤)、LIVE PLAYS(2LP 日本盤)、海賊版GLC LIVE AT THE ROXY1979&LIVE AT THE BOTTOM LIVE 1978 これは耳を疑う(’81 UK盤)があるが、三作目が個人的にはXTCのデイヴ・グレゴリ−、ジャムのポール・ウェイラー等の参加によりジェネシス路線とは異なる時代性を感じさせ、興味深い。二作目B面”Exposure”ではフィッリップのソロが聞け、クリムゾンファン必聴。

#6 McDONALD AND GILES・same(’71 US盤)知る人ぞ知るキング・クリムゾン初代メンバーのイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズによるキング・クリムゾン脱退後の唯一のアルバム。あの「クリムゾン・キングの宮殿」の衝撃的なジャケットデザインと比べても気の抜けたようなこのアルバムのデザインはキング・クリムゾンに対する二人のスタンスの違いを表しているのかもしれない。’69年1月キング・クリムゾン結成。同10月「クリムゾン・キングの宮殿」発表。同12月二人は脱退。翌70年「McDONALD AND GILES」録音。音的には優れたアルバムである。クリムゾンほど野心的ではないが斬新な面が随所に見られる聞き応えのあるアルバムだと思う。B面は1曲のみで「BIRDMAN」ピート・シンフィールドがwords担当。

#3 比較的最近入手したレコードだがANTHONY PHILLIPS ・THE GEESE AND THE GHOST(’77 US盤)とPRIVATE PARTS AND PIECES II”BACK TO THE PAVILION”(’80 US盤) について。 アンソニー・フィリップス[1951〜]はGENESISの初期アルバム”TRESPASS(侵入)”におけるギタリスト(Acoustic 12‐string)として知られるが、その後のGENESISの商業的な成功とドラマチックな展開により目立たぬ存在となってしまったが、77年のこのアルバムから活動を再開する。考えるにロンドンではピストルズはじめとするパンクロックムーブメント全盛の時代になぜにこのような静穏な音を紡いでいたのか今考えても驚きだ。しかし当初自主制作盤だったこのアルバムはイギリス国内だけでもかなり売れ、正式にリリースしなおしたという話もある。そして「PRIVATE PARTS AND PIECES」というごく私的な音作りを綴ったシリーズへと発展していく。ほかに「1984」(’81 US盤)、「SALLY」(THE ANTHONY PHILLIPS BAND ’84 )がある。(この二枚はさすが’80年代を意識か?ちょっと異例。)

#2 P.F.M.の「幻の映像」(PHOTOS OF GHOSTS)についてつけたすと、P.F.M.はこのアルバムの前に二枚の本国イタリアでの作品を出している(72年に「STORIA DI UN MINUTO」と「PER UN AMICO」)。日本で知られたのは英語バージョンによる世界デビューアルバム「PHOTOS OF GHOSTS」(’73)からだ。私もこのアルバムでPFMを知ったが、明らかにヨーロピアンプログレの中でも独自な方向性を示したグループとして鮮明に記憶が甦る。初期キング・クリムゾンに在籍したピート・シンフィールドがイタリア語の歌詞を英語に作詞しなおしている。そしてイタリア民謡やクラシック、ジャズ、ロックが美しくからみ合う旋律はその美しい点描によるジャケットデザインとこの上ない合致を見せた。

#1 P.F.M.・ CHOCOLATE KINGS(’76日本盤)、THE BYRDS ・Turn!Turn!Turn!(’70再発盤、原盤は1966)、CHICAGO・ TRANSIT AUTHORITY(’69USオリジナル)ほか入手。P.F.M.(PREMIATA FORNERIA MARCONIの略)はイタリアのプログレで「幻の映像」「甦る世界」は当時よく聞いた。この他にP.F.M.COOK(’74日本盤)とcome ti va in riva alla citta(’88イタリア盤、NUMERO UNOレーベル)がある。Manticore Recordsのレーベルデザインは秀逸。 

  アーティストごとに所有するレコードをUPするため、後日に追加されていることもあります。
  ここに載せている内容は、あくまで自分の知りうる限りのものです。誤りだらけかと思いますが、たわごとだと思って頂ければ  気が楽です。



#26−#50
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