〜Le Monde〜 水彩風景画の簡単な描き方
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TOP> 画材解説>絵の具のブランド


絵の具は国産・外国産のメーカーやブランドがたくさんあります。
各メーカーやブランドにより得意な色というものもあるようですし、同じ色名でも多少発色が異なるようです。
また基本的に同じ色でも色名が違う場合も多々見受けられます。
(例:イエローオーカー/オークル、フーカスグリーン/フッカースグリーン、 ペインズグレー/ペイニーズグレー、など)
ですので、お好みでこの色はこのメーカー、あの色はあのメーカーというように、混ぜて使っても問題はあまりありません。


ここでは透明水彩を前提として、比較的よく使われるメーカーやブランドについてわかる範囲で書いて行きたいと思います。


透明水彩絵の具のうち、ホルベインやクサカベの絵の具はちょっとした文具店や画材屋さんでも置いてあります。
趣味とはいえ絵を本格的に描きたい場合はまずホルベインあたりから透明水彩に慣れていくと良いと思います。
ウィンザー&ニュートンやロイヤルターレンス、ラウニー辺りは更に本格志向で、 より一層の発色や絵の質を求める場合に考慮してください。


なお、実際に購入をお考えの方にはお勧めの絵の具のリンク集(解説付き)を用意していますのでご参考ください。


ホルべイン

HWC(ホルベイン アーチスト ウォーターカラー)。
多くの方に使われている、とても使いやすい国産の絵の具です。
一般的な学童用12色セットから比べれば、伸びも良いし発色もきれいです。
完成した絵を見ると多少粉っぽいような気がしなくもありません。
初心者からセミプロまで幅広く使える絵の具です。
(管理人は数年前までは本当にHWCの3色だけで全ての絵を描いていました)


色味は多少渋めで、少々ぼんやりした感じです。
そのため、古い町並みや廃屋、農村風景などを描くには適しているように感じます。
ただし乾燥した後に多少ざらついたような粉っぽい印象を受けます。


絵の具のタイプとしては生チューブ絵具が主流のようです(固形セットも存在します)。
この生チューブ絵具ですが、パレットで乾燥させて使う場合は若干他のメーカーよりも粉っぽく堅くなり、もろい感じです。


この絵の具は専門の画材店でなくても手に入りやすく、ちょっとした文具店に置いてあることも多いです。
学童用12色セットを卒業したらまずこの絵の具辺りから使っていくと良いと思います。


クサカベ

油絵の具でもよく知られている国産の絵の具定番メーカーです。
自分で使ったことがないので詳細は書けませんが(油絵の具は使ったことがあります)、 日本のメーカーだけあり、日本の風景に適した色合いに感じます。
某テレビ番組の趣味悠遊の先生が使っていたのは恐らく専門家用のレーベルかと思います。
※大抵のメーカーには専門家用と廉価版の二つのシリーズがあるようです。


サクラ

サクラクレパスのサクラです。昔の学童用12色セットといったらこれですね。
そのため、透明水彩絵の具や専門家用というイメージがあまり感じられませんが、 ターレンスジャパンと組んでおり、ターレンスのブランドを取り扱っています。


サクラ印の12色セットが家に残っている方も多いと思います。
しかし混色の練習等には十分使えると思いますが、 本格的に透明水彩画を描く場合には残念ながら物足りなさを感じてしまいます。
昔の学童用12色セットは透明絵の具と半透明、不透明絵の具が混ざっており、 透明感のある絵やハッキリとした絵を描くには少々足りません。
廉価な絵の具で透明水彩画を描きたい場合は、 提携しているターレンスジャパンの汎用シリーズ(ターレンス、ヌーベル)が良いかもしれません。


ターナー

アクリルガッシュ・ポスターカラーでよく知られている国産のメーカーです。
むしろ透明水彩絵の具を出していることが知られなさすぎ、といったほうが良いかもしれません。


透明水彩絵の具自体は以前から出していたようですが、一度全面改良した模様です。
生チューブ数色を単色バラで買ってみたのですが、非常に使いやすい絵の具です。
他の国産メーカーの絵の具と比較すると若干柔らかめで、滑らか、透明感もまずまずで発色も鮮やかです。
鮮やかで濃いめですがヴァン・ゴッホのような強烈さはなく、ちょうど良い感じです。
なお私が使っているのは改良後の絵の具のようです。


生絵の具を乾燥させてみましたが、粉っぽくなって割れるようなことはありませんでした。
もちろんそのまま塗っても粉っぽさやざらついた感じはせず、生絵の具と遜色なく使えます。
使っている人は少ないようですが、国産メーカーの中ではお勧めです。


日本のメーカーのためか、やはりクサカベやホルべインと同じく、 同じ色名でも海外製の絵の具と比べるとどこか日本の風景に適した色合いです。
サップグリーンなどは鮮やかなのになんとなく和風な雰囲気を感じます。


ウィンザー&ニュートン

W&Nとも。イギリスの老舗です。
専門家用、および廉価版(コットマン)が存在しますが、本格的な絵や透明度を求めるなら専門家用一択です。
ファンが多い絵の具で、大抵はW&Nかラウニーか、といった感じのようです。


専門家用を前提に書きますと、ホルべイン辺りから乗り換えた場合、非常に透明度が高く鮮やかに感じます。
生チューブと固形と両方とも愛用者が多い絵の具です。


個人的な使用感ですが、緑系と青系の数色しか使っていませんが、水で溶いた時に非常に薄くよく伸びる絵の具です。
緑系はかなり鮮やかというか、場合によっては派手目に感じることもあるかもしれません。
一度乾かした上から重ね塗りをするとその透明感がよくわかり、先に塗った色の筆使いを残したい場合などに好印象です。


生絵の具をパレットで乾かして固形化すると、国産絵の具と比べて薄くペタンコになります。
セルリアンブルーなどは固形化したものを濡れた筆で撫でるとかなり滑らかです。


より本格的な絵を描くために良質の絵の具が欲しいと思い始めたらこの辺りを選ぶと良いと思います。


デーラー・ラウニー

ラウニーもイギリスの老舗です。
ファンが多い絵の具で、大抵はW&Nかラウニーか、といった感じのようです。


自分で使ったことがないのでわかりませんが評判は良い絵の具です。
ラグジュアリーボックスなども存在し、高級絵の具というイメージが強いです。
絵を見た感じでは赤や茶系統の発色が鮮やかに感じます。


ロイヤルターレンス

オランダの王室からロイヤルの称号を得たという栄誉ある画材メーカーです。
幾つものブランドを持ちますが、透明水彩絵の具では専門家用のレンブラント、汎用のヴァン・ゴッホ(廃盤)、社名そのままのターレンスがあります。


日本国内ではターレンスジャパンとして活動していますが、日本国内の老舗であるサクラと提携しています。


レンブラント

ロイヤルターレンスの専門家用絵の具のブランドです。
使ったことはありませんが、濃く鮮やかな色合いが特徴に感じます。


ヴァン・ゴッホ

ロイヤルターレンスの汎用ブランドです。
濃く鮮やか、鮮烈な色合いです。
どうやら廃盤になったようです。


固形を2色使ってみましたが、良くも悪くも発色が強烈です。
そのため、一つの絵の中にほかのメーカーの絵の具と一緒に使う場合は加減が難しいです。
逆に言えば、目立たせたいところや鮮やかにしたいところに少量使うには良いです。


ヌーベル

ターレンスの汎用ブランドで、日本国内ではサクラ(ターレンスジャパン)の取り扱いです。
どうやら透明水彩絵の具は廃盤になったようです。
他の画材としてはまだ残っています。
水彩絵の具は現在のターレンスシリーズに引き継がれているようです。


固形の12色コンパクトセットを使っています(現在のターレンスプチカラーの前身の模様)。
汎用ブランドなので他の専門家用ブランドと比べてしまうと若干劣りますが、 一般的な学童用12色セットと比べればやはり透明感は数段上です。
ただし色合いは若干薄めに感じます。
固形なので長年の愛用のうちにはどうしても水分を吸って乾くを繰り返しますが、 よく使う色は数年経ったら縮んでひび割れました。


シュミンケ・ホラダム

ドイツの老舗メーカーです。
最高級との誉れ高いのですがお値段も最高級です……。
一度は使ってみたい気もしますが、買ったことはありません(お察しください)。


セヌリエ

フランスのメーカーです。
使ったことはありませんが、透明感に優れると評判です。
カラーチャートを見ると明るい青系の色合いが好みに感じました。
12色セットなどのセットは透明と不透明、半透明が混ざっているようです。
国内での取扱店舗は少ないようで、入手はもしかしたら困難かもしれません。


マイメリ

イタリアのメーカーです。
使ったことはありませんが、評判は良いようです。
マイメリブルーといわれるので青系の色が美しいのかもしれません。
一般の画材店でも扱っているところは限られるようで、実物を見たことはありません。


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