Le Chat Noir
まだ魔女がたくさんいた頃 …
フヴェール、フジョーヌ、フルージュ、
3つの国の黒猫のものがたり。
これはほんのちょっと昔、まだ魔女がたくさんいた頃のお話。
ゴンドラナの西のはしっこに、
フヴェール、フジョーヌ、フルージュという国が三つ並んでありました。
フヴェールの王様は、『魔女はみな悪いものだ』と思い込み、
魔女を捕まえて殺してしまう法律を作りました。
おぉ、おぉ、恐ろしいことです。
魔女はたいてい黒猫と暮らしていましたので、
黒猫と暮らす人はみな魔女だと決めつけられました。
えぇ、えぇ、そりゃひどいもんです。
フヴェールの黒猫 上から size : 39×36mm | 43×30mm | 41×34mm
フジョーヌの黒猫 上から size : 36×33mm | 49×26mm | 32×35mm
フルージュの黒猫 上から size : 40×26mm | 44×28mm | 47×34mm material( すべて共通 ) : 銅、七宝 ( 2013 )
_でも安心してください。
フヴェールではよい小麦がたくさん穫れることから、
おいしいパン屋さんがたくさんありました。
パン屋さんはネズミをとってくれる猫たちと暮らしていましたので、
黒猫と暮らしているパン屋さんは、
黒猫たちを小麦粉の袋に入れて手足や耳やおなかを真っ白にさせて、
まんまと役人たちの目をくらましました。
その噂は猫たちの間で広がり、
ほかの黒猫たちも毎日パン屋さんにやってきて、
体の一部を白くしてもらうようになりました。
いまでは、そんな馬鹿な法律もなくなり、
魔女も黒猫も安心して暮らしています。
それでもフヴェールの用心深い黒猫たちは、
いまでも手足や耳の先だけは真っ白にしているんですって。
右隣にあるフジョーヌの王様も魔女は悪いものと恐れました。
そしてすべての黒猫を魔女の化身と思い込んだ王様は、
役人たちに黒猫を捕まえるように命じました。
さぁ、大変です。
黒猫たちは暗闇に身を潜め、
新月の晩にしか出かけられなくなりました。
黒猫たちはお月様にお願いしました。
「どうかわたしたちの姿を照らさないでください。」
お月様はにっこり笑うと、
「それでは、私の後ろからついて来るというのはどうだい?
そうすれば、私の影の中に隠れていられるからね。」とおっしゃいました。
これで黒猫たちは毎晩安心して出かけられるようになりました。
いまでは、そんな馬鹿な命令もなくなり、
魔女も黒猫も安心して暮らしています。
それでもお月様は、いまでもフジョーヌの黒猫たちを
照らさないでいるんですって。
左隣にあるフルージュの王様はそんなことを信じませんでした。
よい魔女がたくさんいることを知っていたのです。
王様は魔女たちが隣国の役人に捕まえられないように、
すべての猫に子供の格好をさせました。
この対策に猫たちもまんざらでもなかったようで、
みなそれはそれはかわいらしい服装に身を包みました。
そのうち、ちょっとお洒落な猫たちは帽子をかぶって気取ってみたり、
コサージュをつけて着飾るようになりました。
いまでは、隣国のそんな馬鹿な法律もなくなり、
魔女も黒猫も安心して暮らしています。
それでもフルージュの猫たちは、
いまでも子供の服装が気にいって着てるんですって。