〜Le Monde〜 水彩風景画の簡単な描き方
透明水彩の着色混色や絵の具の使い方のコツや意外なポイントをご紹介します。
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水彩画のコツと裏ワザ

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着色のコツ
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 ・混色のススメ
 ・絵の具の溶き方
 ・絵の具の混ぜ方 明るい色に暗い色を足していく
 ・おすすめ混色

こんなときは:
・塗ってみたけど色がヘン……?
 ├色に関する思い込み
 └とにかく何かがヘンだ 不透明と透明が混ざっている



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絵の具の使い方

最もその人の趣味や好みが現れる着色。
しかし初心者のうちはまだそこまで自分のカラーを出す方法がわかりません。
とりあえず、何だか上手そうに見えるコツを描いてみます。

1.混色のススメ  2.絵の具の溶き方  3.絵の具の混ぜ方  4.おすすめ混色


1.混色のススメ:
絵の具はどのようなものをお使いでしょうか?
12色セット? 24色、もしくはそれ以上のセット?
淡彩といわれ、主に絵手紙などで、薄くしかし鮮やかで透明感のある絵を描きたい時は、 そのようなセットに入っている様々な色を、あまり混色せずにそのまま薄めて使うのが良いようです。

しかし、スケッチブックに描くような少々本格的な水彩画、特に風景画の場合は、 むしろ逆だと思ってください。
風景画の場合、絵の具は何色も混ぜて使うのが基本です。
通常は3色、色に変化を入れたい場合は更にアクセントを足します。
私の場合は3〜5色の混色を使い分けています。
絵手紙や淡彩では色が濁ると敬遠されますが、風景の場合は複雑で深い色味が必要なため、 混色したほうがより良い色を作れます。
しかも決して濁った色ではありません。むしろ味わいのある色です。
これだけで絵が上手そうに見えます。

例えば出来合いの緑をそのまま塗ると、その緑の濃淡しか表現できませんが、混色で緑を作れば濃淡はおろか、 暗い青っぽい緑、鮮やかな緑、くすんだ緑、明るい黄みを帯びた緑など、いろいろな緑が作れます。
自然の木々を見ても、同じ緑一色ではありません。様々な緑があります。
それを表現するには混色するのが一番です。

混色で作った緑の例
原色の緑

基本は赤・青・黄の3色(3原色)で全ての色を作ります。
緑や茶、グレー等も、出来合いの絵の具ではなく3原色を混ぜて作ってください。
色味を調整するために3原色に緑や茶色を足すのはOKです。
この3原色ですが、赤・青・黄系統であれば別の色でも構いません。

ここで個人の趣味が出てきます。
普通に赤・青・黄の人もいますし、紅・紺・レモンイエロー、あるいは黄土色の人もいます。
私は紅・紺・黄土色を使っていますが、これは深みのある色合いなので、 鮮やかな色合い用の赤・青・黄も用意しています。


2.絵の具の溶き方
ところで、絵の具を溶く時、あるいは色を作る際、どうやっていますか?
柔らかい絵の具をたっぷりパレットに広げ、そこへ水を足していく……多い手法です。
ですが、これこそまず初めに失敗しやすいところ。
いい感じに色が作れたのにいざ塗ってみたら色が濃くてベッタリしていたなんてことがありませんか?

色の作り方の基本は逆です。
パレットにたっぷりと水を伸ばし、そこへ少量ずつ、筆先に付くか付かないか程度のわずかな絵の具を足していきます。
これだけで濃い絵の具をベッタリ塗ってしまうハプニングが避けられます。
絵の具というよりも、色水というほどに薄く作ります。

1まずパレットに
水を広げ
2筆先にわずかに
絵の具をつけ
3水と馴染ませる

もう一つ。
絵の具が筆に付きすぎてしまうなら、最初から付きすぎないようにしてしまうのも手です。
絵の具が付きすぎるのは絵の具が柔らかいため。
固形絵の具なら水で塗らした筆先でわずかに溶かして使うため、絵の具が付きすぎる心配がありません。
チューブの生絵の具しかない場合、パレットに絵の具を絞ったらそのまま干からびさせれば簡単に固形絵の具が作れます。

ついでにもう一つ。
幼稚園か小学校でこんな教わり方をしませんでしたか?
・絵の具はパレットの広い面でたくさん作る
・絵の具を広い面にとったらそこへ筆で水を足していく
・パレットに広げた色はしっかり混ぜる
・途中で色を足すと色が変わってしまうので最初にたくさんの絵の具を作っておく
この教えに真面目に従うと、どうしても最初に大量の濃い絵の具を作ってしまいがちに。
パレットの上で泡がたつほど混ぜ合わせていたら絵の具が濃い証拠。
こうなってしまったらパレットをふき取って大量の水を足しましょう。

お勧めの絵の具等の画材は別ページで紹介します。


3.絵の具の混ぜ方
基本的に上で書いた絵の具の溶き方と一緒ですが少し追加を。
例えば紫を作ろうとしてパレットに青を出しても、 そこへ赤を足しすぎて別の色になってしまう……経験ありませんか?
これは筆にベッタリと絵の具が付いているのが原因です。
絵の具を筆の腹でえぐるようにして取っていませんか?
しかもパレットに広げた色を混ぜる際、筆でベタベタ混ぜて泡が立っていたり。
これも絵の具が多すぎるためです。
絵の具はあくまでも少量ずつ足します。
筆先にゴマ粒くらい(それでも多い時さえある)色がつくくらいで十分です。
※もしポケットサイズや携帯セットをお使いの場合、茶色い毛の筆だったら、筆先を見て色がわかるくらいだと付けすぎです。

絵の具の量という面をクリアしたら、ちょっとしたコツを頭に入れておくとさらに楽になります。

1.薄い、もしくは明るい色をベースに濃い色を足していく。
たとえば黄緑を作りたい場合、青(緑)に大量の黄色を足していくよりも、黄色にほんの少量の緑(青)を足したほうが速く正確に作れます。

2.作りたい色の色味の強いほうをベースにさし色をする。
3.色の名前の順番に色を足す。
たとえば赤紫は名前の通り、赤みの強い紫ですので、赤にほんの少しの青を足します。
逆に青紫なら、青をベースにほんの少し赤を足すほうが早く作れます。
上で書いた黄緑もこの作り方に当てはまりますね。


4.おすすめ混色
絵の具は最低限、赤・青・黄の系統の三原色があれば事足りますが、配合によって変わるのが面白いところ。
また、わざわざ混ぜなくても最初から緑や茶色といった絵の具もあります。
緑や茶色の絵の具をそのまま塗るのはお勧めしませんが、混色に使うととても便利です。
→あると便利、重宝する色について


山や森が上手そうに見える混色
・緑系+青系
   ……木々の陰の部分や、夏の濃い緑、針葉樹に使うとそれっぽく見えます。
・緑系+黄土色
   ……絵の具そのままの黄緑とは風合いが違うので上手そうに見えます。
・緑系+茶色
   ……木々の陰の部分や、秋の色づく前の木々、夕方の森、広葉樹の陰におすすめ。
・緑系+黄土色+レモンイエロー
   ……光の当たった新芽や日向の木、若い木々の枝先に。
・緑系+茶色+青系
   ……木々の濃い影に。
・茶色+黄土色+赤系
   ……秋の木々に。紅葉というほど鮮やかではないたいていの木の色が出せます。

参考:色々な緑と古民家の絵
色々な緑の例

古い家をそれっぽく見せる混色
・青系+赤系+黄土色(1)
   ……可能ならウルトラマリンやクリムソンなど濃い色で作るとそれっぽい暗褐色に。
・青系+赤系+黄土色(2)
   ……青を若干多めにしたブルーグレー。軒下の暗がりなどに重ねると良い風合いに。
・青系+赤系+黄土色(3)
   ……上の2をさらに水で薄く溶いたもの。白壁を塗り残すのがためらわれるとき等に。

空をそれっぽく見せる混色
・青+セルリアンブルー
   ……明るく晴れた空に。
・ウルトラマリン+セルリアンブルー
   ……鮮やかで濃い青空。南ヨーロッパの空のイメージ。
・ウルトラマリン+クリムソン
   ……クリムソンは分からない程度に少量。たいていの空はこれだけで描ける。
・ウルトラマリン+クリムソン+イエローオーカー
   ……若干グレー系の空の色。空の下のほうや雲に。冬空などはこの色でも。
・青+赤
   ……ウルトラマリンがない時に。青に極少量の赤を足す。※足しすぎ注意


2.色に関する思い込み
意外と多いのが色に関する思い込みです。
例えば……空を青一色で塗る。
確かに空は青いです。でもちょっと待ってください。
空の上のほうと下のほうの色は一緒ですか?
例えば高い空は真っ青でも、中くらいは白っぽかったり、 あるいは工業地帯や都心部では地平線近くが赤茶けて濁っていたり……よく見てください。
秋の空の濃い青と、夏の鮮やかな空の青、春の白く濁った青、冬のグレーに近い青など、 季節によっても空の色は変わります。
まして曇天、雨の降る直前で雲が真っ黒なんてこともあります。
夕焼けですら赤くはありません。

また、川や池を青に塗ることも多いですね。
晴天で水もきれいな場合は確かに空が映ってることもありますが、 川などで波や流れがある場合は物は映っていません。
空や風景が写るのは水面が穏やかな場所だけです。
池に至っては水が澱んで変な緑や茶色いこともあります。
透明な山の清水などは、浅く透明すぎるために水底の土しか見えないようなときもあります。
(この場合は反射して白い部分だけを塗り残し、 その他の水面部分は普通に濡れた色の水底の土だけを描くとそれっぽく見えます)

また、道路と屋根も勘違いが多いポイントの一つです。
アスファルトや瓦などは黒いものだと思ってる方が多いようです。
空と見比べてください。
同じくらいの明るさ薄さのはずです。
もちろん道路は影の部分は暗いですし、屋根も雨で濡れれば暗くなります。
ですが、日が当たってる部分は基本的に空と同程度の明るさです。

木々の緑も頭が痛い場所です。
木によって緑の色合いが違うのですが、同じ緑の濃淡だけで描こうとする方がかなりいます。
針葉樹と広葉樹ではもちろん緑が違いますし、夏の黒々と茂った葉と、秋目前の茶色味を帯びたくすんだ緑は違いますし、 芽吹きの白っぽく薄い緑もあります。
紅葉も赤と黄色ではなく、茶色味を帯びたオレンジなどの中間色がほとんどです。

とにかく思い込みを捨ててよく観察してください。
意外な色合いばかりであることに気付けば、表現の幅がぐっと広がります。


3.個人的なお勧め混色:
私が主に使っている混色を紹介します。なお、 お勧めの絵の具等の画材は別ページで紹介します。
※メーカーによって色の名前は多少異なります。

3原色その1:
左から
ウルトラマリンライト(鮮濃青)
クリムソンレーキ(紅)
イエローオーカー(黄土色)

この3色を使うと深みのある色合いの混色が出来ます。
上の名称はホルベインで使っている名前です。
お小遣いがあれば某社のフレンチウルトラマリン・アリザリンクリムソン・イエローオーカーを使いたいところですが(苦笑)。

3原色その2:
左から
ブルー
レッド
イエロー

よく12色セットに入っている、いわゆる青赤黄です。
鮮やかな混色が出来ます。

茶色系:
左はバーントアンバー
右は比較用の茶原色

主に使われるのはバーントアンバー、バーントシェンナーでしょうか。
メーカーによって多少色合いの違いはありますが、焦げ茶と茶色です。
3原色の混色にわずかに加えて深みを出すのに重宝します。
ローシェンナーという色もありますが、これは茶色と黄土色の中間くらいの色です。
ちなみにシェンナーとはイタリアの古都シエナのことで、この町は独特の茶色の石材で建てられています。

その他の色:
左から
フッカースグリーン
ペインズグレー
セルリアンブルー

緑系ではフッカースグリーン(フーカスグリーン)が鮮やかな緑でアクセントに重宝します。
黒は通常は使わない色ですが、ペインズグレー(ペイニーズグレー)は混色で作ったグレーに近い色合いなので使うと便利かもしれません。
また南フランスの空や南国の海の透明で鮮やかな色は混色では出すのが難しい青ですので、セルリアンブルーが1本あるといいかもしれません。

3原色混色その1: ※ホルベインを使用
ウルトラマリンとクリムソンの混色
左は青が多め、右は赤が多め
ウルトラマリンとイエローオーカーの混色
左は青が多め、右は黄が多め
ウルトラマリンとクリムソンとイエローオーカーの3原色全ての混色
配合によって茶色系やグレー系になる

絵の具の混ぜ方によって様々な色を作り出せるのが混色の魅力です。 この例では落ち着いた渋い色合いですが、勿論鮮やかな色も作れます。

異種混合: ※ここで使ったのは原色の風味の調整用。もちろん通常の混色も可能。
ウルトラマリン(ホルベイン)とセルリアンブルー(ウィンザー&ニュートン)の混色
鮮やかな青になる
クリムソン(ホルベイン)とカーマインレッド(ヴァン・ゴッホ)の混色
鮮やかな赤になる

このように異なるメーカー同士の混色も可能です。
同じ色でも、メーカーによって若干色合いが異なる時があります。
ですので、この色はこのメーカー、あの色はあのメーカーと使い分けるのも良いでしょう。
ただ、ウィンザー&ニュートンやセヌリエのような透明感が売りの絵の具を、 若干渋い色合いのホルベインや、色合いがとても強いヴァン・ゴッホと混ぜると、 場合によっては多少風味が変わることもあるかもしれません。
その辺りは実際に使ってみて好みで選んでいくと良いでしょう。

絵というと(しかも水彩の風景画)難しく考えている方が多いようなので、 気軽に楽しく描くための手助けになれば嬉しいです。

語ってみる。
絵の具や描き方の種類:

ところでこのサイトで紹介している着色の仕方は『透明技法』と呼ばれるものです。
透明絵の具を使い、薄い色や明るい色は絵の具をたっぷりの水で薄めて描きます。
この絵の特徴は一度塗って乾いたところへもう一度別の色を塗ると、下の色が透けて見えます。
非常に透明感のある絵が描けます。
これに対し、『不透明技法』というものもあります。
不透明絵の具を使い、薄い色や明るい色は白絵の具を大量に足して色を作ります。
この絵の特徴は一度塗って乾いたところへもう一度別の色を塗ると、下の色が隠れて見えなくなります。
油絵がこの代表です。

水彩絵の具にも透明と不透明があります。
一つの絵に対し、この両方の技法を使うと濁った絵になりますのでどちらか片方に限定して描きます。
絵の具にガッシュと描かれている場合、それは不透明水彩絵の具で、学校などで配るポスターカラーやアクリルガッシュがその代表です。
一般的に趣味で風景画を描く場合は透明水彩が広く使われていて、絵の具も種類が多くてお勧めです。

この透明絵の具も、一般的なチューブの生絵の具と固形絵の具があります。
一般的にはまだ固形絵の具はなじみがないようですが、慣れてくると使いやすいです。
絵の具の付きすぎや、チューブを落として踏みつける、チューブのふたが開かなくなるなどのアクシデントとも無縁でお勧めです。
ところでアクリル絵の具も水彩絵の具の一種です。
ただしアクリル絵の具は一度乾くと耐水性となります。
ですので、絵筆やパレットの扱いは注意が必要な上、衣服などにつけてしまうと大変です。
対策はしっかりと行っておきましょう。

お勧めの絵の具等の画材は別ページで紹介します。



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