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いざ絵に色を付けてみたけれども何かがおかしい……。
どこかがおかしいのだけれど、何が原因かわからない。
そんな時に確認すると良さそうな場所を考えてみます。
1.色に関する思い込み 2.とにかく何かがヘンだ
1.色に関する思い込み
意外と多いのが色に関する思い込みです。
例えば……空を青一色で塗る。
確かに空は青いです。でもちょっと待ってください。
空の上のほうと下のほうの色は一緒ですか?
例えば高い空は真っ青でも、中くらいは白っぽかったり、
あるいは工業地帯や都心部では地平線近くが赤茶けて濁っていたり……よく見てください。
秋の空の濃い青と、夏の鮮やかな空の青、春の白く濁った青、冬のグレーに近い青など、
季節によっても空の色は変わります。
まして曇天、雨の降る直前で雲が真っ黒なんてこともあります。
夕焼けですら赤くはありません。
また、川や池を青に塗ることも多いですね。
わかりやすい例を挙げると、例えば水というのだから水色を塗りたくなります。
でも、もし実際に水の色が水色だとどう感じるか……。
恐らくとても不自然な色に感じると思います。
写真のように実際に水色のところもありますけれど、このような場所は限られてきます。
池に至っては水が澱んで変な緑や茶色いこともあります。
透明な山の清水などは、浅く透明すぎるために水底の土しか見えないようなときもあります。
(この場合は反射して白い部分だけを塗り残し、
その他の水面部分は普通に濡れた色の水底の土だけを描くとそれっぽく見えます)
ややこしい例もあります。
例えば海。
水が淀んで汚れた色をしていても、晴天で空が映っていれば青く見えます。
この場合、海しかなければ青く塗っても違和感はないのですが、例えば港などで構造物の影があると、
そこに青系の影を付けるとなぜか不自然になります。
こんな時は空が映っていると思しき場所は青系で塗っておき、物の影が映っている部分は本来の水の汚れた色で描くとそれっぽく見えます。
たとえば晴れた横浜の港だったら海を青系、物の映った影の海面は混色に暗褐色系を足してみるとか、そんな感じです。
ついでに。
晴天で水もきれいな場合は確かに空が映ってることもありますが、
川などで波や流れがある場合は物は映っていません。
空や風景が写るのは水面が穏やかな場所だけです。
また、道路と屋根も勘違いが多いポイントの一つです。 |
木々の緑も頭が痛い場所です。
木によって緑の色合いが違うのですが、同じ一色の緑の濃淡だけで描こうとする方を結構見かけます。
針葉樹と広葉樹ではもちろん緑の色味が違いますし、夏の黒々と茂った葉と、秋目前の茶色味を帯びたくすんだ緑は違いますし、
芽吹きの白っぽく薄い緑もあります。
紅葉も赤と黄色ではなく、茶色味を帯びたオレンジなどの中間色がほとんどです。
とにかく思い込みを捨ててよく観察してください。
意外な色合いばかりであることに気付けば、表現の幅がぐっと広がります。
2.とにかく何かがヘンだ
どこかがおかしいのだけどそれが何だかわからない……。
そんな時は実際の風景の色と塗った色の違いというより、塗り方や絵の具の使い方に原因があることもあります。
【例1:透明と不透明が混ざっている】
このサイトでは透明水彩について書いていますが、水彩画には透明の技法と不透明の技法があります。
これは文字通りの意味で、透明水彩は絵の具を溶くと透き通っていて、色を紙に乗せたとき、先に(下に)あった色が透けて見えます。
不透明水彩は色を重ねると下の色は遮断されてしまい見えません。
この二つの技法には絵の具の明るさの調整に大きな違いがあります。
小学校の図工で絵を描く時、絵の具の溶き方、もしくは明るく薄い色の作り方をどう教わったでしょうか?
『水で薄める』『白を加える』。
恐らくこの二つを習ったと思います。
そしてやってしまうのが『白を加えて水で薄める』。
間違いとまでは言いませんがお勧めできない方法です。
白を混ぜると色が濁ります。つまり不透明になります。
その絵は不透明水彩ということになります。
不透明水彩は油絵のようなものだと思ってください。
もしくはポスターカラーの絵。
これらは例えば水色ならば青に白を足して作ります。
白い部分は白の絵の具を塗ります。
一方、透明水彩はあくまで色を薄めるのは水だけです。
水色ならば青を水で極薄く溶いて作ります。
ピンクなら赤を薄めます。
この場合、色は透明で濁りません。
雲の明るい所や雪原などの白い部分は紙の白をそのまま塗り残します。
絵がどこかおかしいと思う場合、一枚の絵にこの透明水彩の技法と不透明水彩の技法を両方混ぜてしまっていることが多々あります。
完成間際までどちらか一方の技法に統一しましょう。
透明水彩の混色に白を使ってしまうと持ち味の透明感がなくなってしまいます。
不透明水彩の色味の調整に水を必要以上(絵の具を柔らかくするという目的以上ということ)に入れると特有の力強さがなくなってしまいます。
わかりやすそうな写真を探してみましたが、どうでしょうか。
不透明の水色と透明の水色。
景色の中に突如不透明の湖が加わるとこんな感じです。
ところで、先ほど白を加えて水で薄めるのを間違いとまでは言わない、完成間際まで、等と書きましたが、これは例外があるからです。
ただしあくまで例外であると思ってください。
以下に例外を描きます。
・仕上げのハイライトに白い点を加える
・仕上げの小物(看板など)の文字入れ等に使う
・細い柵や小さく白い花に使う
・湖などを背景に手前に葦などの水草を数本描く
透明水彩で白い部分は基本的に塗り残しやマスキングという処理を行いますが、
それができないこともあります。
また葦の例のように、透明の技法で描くと後ろの湖が透けてしまいせっかくの葦が見えないというような場合には、
白を混ぜることで不透明にし、下の色の透過を遮断することもあります。
こういったような場合に白の不透明絵の具を混ぜても構いません、ということです。
ただし後ろの色が透けては困るため、水で薄めると効果がなくなってしまいます。
【例2:影の向きがバラバラ】
屋外スケッチ時に発生しやすいミスです。
数十分で描き上げる簡単なスケッチではなく、どっしり腰を落ち着けて長時間描いているときに置きやすいです。
また真面目にきっちり描く方に多いミスのような気もします。
これが発生してしまう時間経過を追ってみます。
1.下描き開始(午前中)
2.休憩(昼)
3.着彩(午後)
4.仕上げ(夕方)
極端に書いてみましたがどうでしょうか。
写生大会などに多い時間割ですね。
種明かしをすると、まず午前中に下描きをしたときには東から太陽が当たっています。
つまり日の当たっている東面は明るく、反対側にそこそこの長さの影があります。
休憩後、色を付け始めたときには頭上から日が当たっています。
ほぼ上からあたっているので影は物の真下方面であり、どこかの方角へ延びる影というのはありません。
色つけがかなり進んだころには太陽は西からあたっていますので、午前とは明るい面と影の面が反対になります。
その時間その時間にきっちり光の当たる面と影の面を描いてしまうと、描きあがった時に光と影の部分が滅茶苦茶になってしまいます。
例えるなら光も影も乱反射したような絵です。
光と影は太陽の下では一方通行ですので、一枚の絵での光の当たる面と影の伸びる方角は1方向のみです。
例えば家の影は右に伸びているのに木の影は左にあったらおかしいですよね。
これを避けるには、まず真っ先に影の部分を決めて最後までそれに従うか、
下描き時は影は描かずにおいて着彩の時に一気に全体に影を付けるかすると良いと思います。
もしくは写真を撮ってそれを元に描くのも方法です。
このサイトでは透明水彩絵の具を使っての描き方のコツを描いています。
透明水彩もしくは不透明水彩というと、いわゆる普通の絵の具ですね。
ではよく聞くアクリル絵の具はどっちでしょうか?
実はアクリルにも透明と不透明があります。
そして水彩絵の具とは水で溶いて使う絵の具ですので、アクリル絵の具も水彩絵の具の一種ということになります。
使い方も一緒ですが、乾くと耐水性になるので、筆やパレットの掃除、水洗いは念入りに。
また衣服に付いたまま乾いてしまうと大変ですのでその点もご注意を。
ただし上で描きましたがアクリル絵の具は乾くと耐水性になります。
つまり一度乾きさえすればいくら上から塗ってもにじみません。
輪郭のはっきりした絵を描きたい場合には重宝します。
描きあがった後に多少の雨が降ってきても大丈夫です。
また、色を付けた部分に若干のツヤが出ます(恐らくアクリル樹脂の被膜でしょう)。
画面への定着力が強いので家の細かいイラストボードやキャンバスにも使えます。
なお、絵の具を買う時にガッシュ(グワッシュ)と書かれていたら不透明用の絵の具です。
白を1本用意しておくと色々便利です。
プロフィール |
H.N:ら・もーんと
イラスト・水彩画・音楽鑑賞出身地:北関東 年齢:大台突入 趣味: 楽器演奏・旅行・読書・創作 ゲーム・パソコン ……と、居眠り♪ |
お気楽ずぼらな上に、体力ナシでほとんど家にこもりっきりなので、家の中でも出来る趣味などを、
無理しない範囲でのんびりと紹介していきたいと思います。
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