〜La Monde〜 アマチュア作家の雑多な趣味サイト
水彩画の画材でよく使う紙について紙質やスケッチブックの種類などをご説明します。
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水彩画の画材の紹介
紙目の荒い例:荒目(ラフ)

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その他の画材

紙の種類

ひとくちに紙といってもかなりの種類があります。
また、同じ種類の紙でも、紙の表面(紙目)によって絵の具の伸びも変わってきます。
水彩専用紙と呼ばれる紙は総合的に水彩画に適した紙質で、 大量の水を乗せても裏に透けせん。
また、画用紙などと比べれば変形もかなり少ないので、非常に描きやすい紙です。
表面もかなり丈夫で、多少の消しゴムかけにも耐えられます。

紙の種類
・紙目
・メーカー及びブランド
・スケッチブックのタイプ
・サイズの種類

水彩専用紙は画用紙と比べると価格は高いですが、実際使ってみると、価格以上の使い心地があります。
紙の種類はとにかく豊富なので、ぜひご自身にあったものを見つけてください。

→実際にどれくらい違うかテストしました


紙目(紙の表面の違い)

同じ紙でも表面の凹凸の粗さによって、大まかに分けることが出来ます。
たいていは3つに分けられ、それぞれ荒目・中目・細目と呼ばれています。

荒目:
紙の表面が荒く、凹凸が大きいのが特徴です。
絵の具を乗せると独特のタッチになり、ダイナミックな雰囲気になります。
ただし、絵の具と水分をたっぷり乗せないと、紙の凹凸によってはじかれる傾向があるので、慣れるまでは練習が必要でしょう。
筆先や絵の具がはじかれるので、細密画にはやや不向きです。
ですが、水彩画らしい紙目を生かした絵には最適です。

中目:
一般的な紙目の用紙。凹凸は中くらいですが、画用紙に慣れている場合には荒目との区別が付きにくいです。
非常に描きやすく、はじめのうちはまず中目を選ぶと良いと思います。

細目:
細かく滑らかな紙です。絵の具が滑らかに流れるので、ボカシ等の技法に向いています。
淡彩のさらっとした絵にも相性が良いと思います。
ただ、絵の具が流れがちなので、これも慣れるまで練習が必要になるかと思います。
荒目のような絵の具のはじき方をしないので、細密画等にも向いています。


→水彩紙のショップリンク 紙のメーカー及びブランド

画材屋さんへ行くと驚くほど大量の種類の紙が置いてあります。
どれを選べばいいかわからなくなるほどですが、その中でもよく使われているものをピックアップしてみます。

コットマン(マルマン):
国産の水彩用紙。最近では文房具屋にも置いてあります。
スパイラルタイプのスケッチブックで、紙目によって茶色・緑・青の表紙に分けられています。
紙目は全体的にかなり荒いらしく、中目ですら他の用紙の荒目に近く、絵の具をはじきます。

クレスター:
使ってる人をあまり見ませんが、個人的にはこれのブロックタイプがお気に入りです。
紙目は中目です。表面もかなり丈夫で、消しゴムでかなり擦っても大丈夫です。
絵の具は若干流れる傾向がありますが、そのためにぼかし等には向いています。

マーメイド:
よく使われる水彩専用紙です。
まずはこの辺りから使い始める方も多い国産紙です。

アルシュ:
フランスの高級水彩専用紙。
評判は非常に高いのですが、比例して非常に値段も非常に高いのがネック。

そのほかによく使われる用紙:
ワットマン、ミューズ、ウォーターフォード、ワトソン、ラングトン

画用紙:
汎用的な用紙。
ただし紙質は千差万別で、見た目での区別が付きにくく、使ってみるまでわからないです。
紙が薄いものは水によって非常に変形しやすいので注意が必要です。
質が悪いものは、絵の具や水が裏に透けてしまい、その部分は紙の内部に絵の具が浸透するために、 そこだけ斑点のように色が変わってしまいます。
あまりにも安いスケッチブックはこの抜けてしまうタイプの画用紙を使っているものも多いので、 正直お勧めしません。

ケント紙:
イラストボードに使われているような白色のツルツルした紙で、厚口の上質紙のような雰囲気です。
絵の具が流れるので、苦手な人は苦手な紙ですが、色は鮮やかに出ます。
絵の具よりはペン画やインク画に向いています。


スケッチブックのタイプ

スケッチブックは綴じ方によっておおまかに二つのタイプがあります。

スパイラルタイプ:
おなじみのスパイラルコイルによって綴じられているもの。
描き上がったら次々とめくっていけばいいので、連続して絵を描く場合に使いやすいですね。
注意点は、額装する(額に入れる)とき。
スパイラル部分まで含めた紙のサイズのものが多いので、 表記どおりの例えばF4の額を買ってきて入れようとすると、 スパイラルの穴あき部分まで見えてしまいます。
画材屋さんで一回り大きい額を購入し、マットを入れてもらえば問題ありません。

ブロックタイプ:
紙の四辺を薄く糊付けしてあり、描き終わったらはがしていくタイプのもので、水彩専用紙に多く見られます。
紙の周囲が張り付いているので、水をたっぷり乗せても変形しにくく、非常に使いやすいです。
また、風によってめくれることもないので、戸外でももちろん活躍します。
糊付けしてあるので連続して描くには1枚ずつはがさなければなりませんが、 例えば上の1辺だけをくっつけたまま、他の部分だけをはがせば、 スパイラル綴じと同じように使えます。


サイズの種類

紙の大きさにはいろいろあります。
また、縦横の比率の規格タイプによっては、数字が大きいほど紙も大きくなる物と、 数字が小さいほど紙が大きくなる物があるので注意が必要です。

A/B版:
オフィス用紙やノートによく使われる規格です。
例えばA4やB5といった規格で、数字が小さくなるほど紙は大きくなります。
文房具系のスケッチブックで良く見かけるサイズで、手軽に使えます。

F版:
絵画では標準的なサイズ規格で、数字が大きいほど紙も大きくなります。
一般的にはF4号、F20号と、号数で呼びます。
スケッチ等には4から6号が使いやすいですね。
一番小さい0号はハガキ程度の大きさです。
なお、Fはフィギュア(人物画)に適した比率という意味ですが、 もちろん風景等にも問題なく使えます。
個人的にはこれの4号が使いやすく気に入っています。
なお、展覧会等ではF10号やF20号を出品の最低サイズにするところも多く、 基本的に絵画はFサイズを基準に考えて良いと思います。

P/M版:
上記のFと共に絵画で使われる企画ですが、あまり馴染みはないかもしれません。
Pは風景に適しているといわれ、パノラマのようなものです。
Mは海(マリン)などの風景に適しているといわれ、これも広がりを持った絵に良いとされます。


用紙テスト

実際問題、紙の質にどれくらいの差があるのか実験しました。
使用したのは一般的な水彩用紙と、安価な画用紙。
※左右とも絵の具は同じ


廉価画用紙(左:A4サイズ):
ホームセンターや文具屋で売っている安価なスケッチブック
水彩用紙(右:F3サイズ):
水彩用紙としてはお手頃なモンヴァル・キャンソンを使用

たっぷりの水でウォッシュすれば当たり前かもしれないが、 ちょっと色を置いただけでも紙のたわみ具合に差が出た。
画像ではわからないが、安価な画用紙では更に裏まで水が染みて抜けた。
正直、スケッチブックを名乗っているのにここまで酷い画用紙も珍しい。

右の水彩用紙は多少紙が浮き上がったが、よれよれにはならなかった。
左の安価な画用紙は完全に波打っている。

安価な画用紙は色を置いた瞬間に紙が吸い込んでしまった。
つまり紙の上で水分や色が自然に混じり合う間がなく、にじみはおろかぼかしの技法さえ使えない。

空の様子:
右の水彩用紙は空の上から下へ色が自然ににじみ、グラデーションになっている。
左の安価な画用紙は即座に絵の具を吸い込んでしまうため、生乾きのときの重ね塗りのような状態になっている。
草原の様子:
右の水彩用紙は緑とイエローオーカーが紙の上で混ざり合い、馴染んでいる。
左の安価な画用紙は色を付けた瞬間に紙が吸い込んでしまうために、絵の具が紙の上で混ざることができず、滅茶苦茶。

さらに、右は乾いた上から重ね塗りの要領で草の生える様子が描けたが、 左は紙が最初の絵の具を吸い込んでいるために乾きが悪く、すぐに重ね塗りをすることができない。
絵というと(しかも水彩の風景画)難しく考えている方が多いようなので、 気軽に楽しく描くための手助けになれば嬉しいです。

語ってみる。
紙で大変身:

画用紙しか知らなかったとき、何でこんなに水を吸い込んでしまうのか、 鮮やかな色を塗ってもくすんだ色になるのか非常に不満でした。
何せ子供だったので、お小遣いで安いスケッチブックを買ったため、 非常に悪い紙質だったのです。
すぐにたわむし、色も水も裏に抜けるし、消しゴムをかけると毛羽立つし……。

大人になってから偶然つけたTVで水彩専用紙というものを知り、すぐに画材屋さんへ走りました。 試しに使ってみると……全然違う!
消しゴムは平気だし、たわみも少ない、水を吸っても裏に抜けず、発色も抜群。
紙でこんなに変わるのかと驚いたものです。

ちなみに上のテストで使った安価なスケッチブック、 初めて使った頃は質が普通の画用紙レベルで、結構使えたのです。
それが3冊目を買った頃……紙質が一気にダウン!!
今までで経験した中で、ワースト3に入るレベルにまで落ちました。
同じメーカーの同じスケッチブックだからと油断はできないですね……。



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